センター概要

センター長ごあいさつ

センター長 村石健治
センター長 村石健治

広南病院東北療護センターは、自動車事故による脳損傷で、後遺症として、重度の意識障害が残ってしまった患者さんに、意識状態と生活機能の改善を期した医療と看護を提供するための施設です。

1989年、現在の独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)により、日本で2番目の療護センターとして仙台市にもたらされ、運営は開設当初より一般財団法人広南会広南病院に委託されております。

この30年超、神経疾患にかかわる医療の進歩は目覚ましく、当療護センターでも、神経学的診察や高度医療検査機器により患者さんの残存機能を見出し、種々の薬物治療に加え、正中神経刺激療法、脊髄硬膜外刺激療法や経頭蓋直流刺激療法などの電気生理学的治療、さらに、私どもが「五感の刺激」療法と称しております音楽(聴覚)、アロマ(嗅覚)などの感覚の刺激と味覚視覚触覚などの専門的リハビリテーションを組み合わせた訓練で、失われた機能を少しでも取り戻すべく、努力を続けてまいりました。------「療護」の「療」

また、館内の温度と湿度の通年管理、見通しの可能なワンフロアの病棟で頻回の観察を行うことでの異常の早期発見、看護師の五感の刺激療法とリハビリテーションへの積極的参加、栄養サポートチームと感染管理チームそれぞれによる定期的ラウンド、ご不自由をおかけしますが、ご面会の時間制限と来院の方の健康チェックなど、患者さんの生活空間の快適化と安全性の向上を図っております。------「療護」の「護」

上記、「療」と「護」が私どもの活動を支える両論ですが、患者さんのご家族が理想とされる高みには、まだまだ届かないというのが現状です。残念ながら、遷延性意識障害の治療法に関するエビデンスは未だ少なく、またその効果もそれぞれの脳傷害の部位と程度により開きがあり、今後もエビデンスを有する治療に経験的治療を組み合わせる試行錯誤の状態は続くと言わざるを得ません。

NASVAを通して全国の療護センターおよび委託病床間で情報を共有し、脳損傷患者さんに対する再生医療の進歩にも期待しつつ、スタッフ一同、「療」、「護」双方に磨きをかけてまいります。

令和2年4月

看護師長ごあいさつ

看護師長 沼倉春美
看護師長 沼倉春美

 東北療護センターには、自動車事故により頭部に後遺症が残り、遷延性意識障害を抱えた方々が入院しております。
当院は、平成元年より国土交通省管轄の独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)の委託を受け、全国に二番目の療護センターとして設立されました。

 当院の病室は 四季折々の景色や昼夜の移り変わりを感じることができる大きな窓を備えたワンフロアーの構造となっています。私たちは、充実した清潔ケアの提供とリハビリ介入に努め、日常生活のサポートに力を入れています。

 当院では、紙屋克子先生が開発した「新看護プログラム」をNASVAの療護施設向けにアレンジしたRNP「療護ナーシングプログラム」というプログラムを実施しています。また、日々の看護ケアには五感の刺激介入に努め、音楽鑑賞会やハンドマッサージを取り入れ、患者さんに合わせた「快」の刺激介入を通じて、よりよい療養環境を提供しています。

 私たちは患者さんの残存機能の回復を看護の力で促進し、「持てる力」を最大限に活かすとともに、「あきらめない看護」に取り組んでおります。看護方式はプライマリーナーシングを導入しており、患者さんの意識回復に向けて、五感の刺激を行いながら患者さんのわずかな変化も見逃すことなく、大切なご家族の心に寄り添った看護を目指しております。さらに、在宅に向けての退院指導についても医師やリハビリ、MSWと連携しながら進めております。